読書記録*遠藤周作*

最近ハマッている作家です。

読んだきっかけは私の好きな歌手の安藤裕子さんが、遠藤周作の小説が好き。と仰っていたのをラジオで聴き、図書館で文庫本を見つけたので借りてみたのが始まりです。

 

①「私が・棄てた・女」

 初めて読んだ遠藤周作作品です。

大学生だった主人公が数回遊びで数回関係を持った純朴な女。彼は女のことをすっかり忘れていたが、女は生涯男のことを慕っていた。

他人に対する行為は一生消えない。その相手から遠ざかり、まったく思い出さないようになっても、心の深い奥底に痕跡を残す。

人は生きていく中で必ず誰かを傷つけている。もちろん傷つけれることもある。過去のものと忘れ去っていてもそういう経験は自分自身に刻み込まれている。

要領よく生きていく主人公とは反対の人生を送る女ですが、彼女には大きな「愛」があった。

私は彼女のように自分を犠牲にして人を助けることができるだろうか。欲しいものの為に残業して手に入れたお金を同僚の奥さんに貸すことできるだろうか。

世の中私利私欲で汚いものばかりの中に美しいものを見た。そんな小説でした。

初回から頭を殴られるような衝撃的な内容の小説で、私が悩んでいることなんてちっぽっけなことなのかも。と思いました。(まあ、人はいつでも何かに悩んでますよね)

 

②海と毒薬

これもまたヘビーな内容。戦時中実際起きた事件(アメリカ人捕虜を生体解剖する)を題材にしているんですが、その事件にかかわる人たちの心の動きが読んでいて辛かった。日本人の良心のよりどころはなんであるか。偉い人に忖度したり、周りの空気に流されたり、そういうことが私の人生では多々ありました。そうしないとこの社会では生きていけないと思っていたから。

 

③深い河

海外ツアーでインドへ向かう人たちのそれぞれの思い。

私はカレーは好きですがインドにはそんなに興味がありません。大学生の時同級生たちがインドに行ったという話は聞きましたが、それがどんな国だったか、詳しい話は覚えていません。

今回この小説を読んで、インドのイメージは私が思っていた通りでした。混沌とした国それって、人の心と同じ場所なんだなと思いました。いろんな矛盾を抱えている場所。混乱してよく感想がまとめられないんですが。これは読んでよかったと思える小説でした。

 

最近、私自身の生活でも心穏やかにいられない漠然とした焦りと不安に襲われることが多く、そのたびに気分が落ち込みなかなかしんどいんですが、小説を読むことで救われています。

 

きっとこの感情の波はしばらく続くと思いますが腐らずにコツコツと毎日を過ごしていきたい。